早期リタイヤ(FIRE)や不労所得で生きていく為には『マネーマシン』を必ず形成する必要があります。
オリラジ中田敦彦さんのYouTube大学でも取り上げられていた題材ですので、見た方もいるのではないでしょうか。
私も動画を見てみましたが、実際に投資を10年以上行っている身から思うところがありました。
そこで今回は大きな影響力を持つ中田敦彦さんのYouTube大学での内容を振り返るとともに、『ETF』でいいのかどうかについての検証・解説をしていこうと思います。
社会人になった2005年より株式投資を行っています。
現在は短期的な株式投資、国際株式の長期インデックス投資をコアに、米国ETFでの高配当株式(VYM,HDV)をサテライトしています。
YouTube大学での内容のおさらい
まずはYouTube大学での内容をおさらいします。
- 富裕層になる為には投資が不可欠
- 投資はアクティブ投資よりもインデックス投資
- 投資信託よりもETFの方がコストが安く長期積立投資に適している
- 年率5%での利回りを目指していて、手数料の高い商品しか提案しない証券会社にはいくな
- 7つの銘柄をポートフォリオに組み込んだマネーマシンを作り『4%ルール』に基づく資産を形成したらFIREする
ざっくりいうとインデックス投資を行う上で、手数料が安い『ETF』(上場投資信託)を買っていこうという内容です。
その具体的なETF銘柄は以下の通りです。
銘柄 | 信託報酬 | 割合 |
---|---|---|
iシェアーズ・コア・S&P 小型株ETF | 0.06% | 10% |
バンガード・トータル・ワールド・ストック(VT) | 0.09% | 30% |
MAXIS トピックス上場投信 | 0.078% | 10% |
バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツ ETF | 0.1% | 10% |
iシェアーズ・コア 米国総合債権市場 ETF | 0.05% | 20% |
バンガード・トータル・インターナショナル債権 ETF | 0.19% | 10% |
バンガード・米ドル建て新興国政府債権 ETF | 0.25% | 10% |
こちらの内容でポートフォリオを組めばマネーマシンが作れると紹介されています。
確かに信託報酬は安いように思えますが・・・
結論から言うとETFでマネーマシンを作るのはお勧めしません。
上記の7つの銘柄は『ETFはこの7本を書いなさい』という本に載っているのですが、この本は2017年出版です。
年数が経っていて『投資環境』や『制度』が当時と今では大きく異なっています。
マネーマシンにはETFが良いのか?
マネーマシンにはETFが本当にいいのでしょうか?
簡単にETFのメリットとデメリットを挙げてみましょう。
- 分散投資ができる
- 手数料が安い
- リアルタイムでの売買が可能
- 米国高配当株などETF(米国)にしかない銘柄がある
- 自動積立ができないこともある
- 口数からしか買えない(最大のデメリット)
- 配当金再投資が自動でできない
- 米国ETFは為替手数料がかかる
- 米国ETFは2重課税となる(確定申告すれば返ってきますが面倒)
どうでしょう?
デメリットが大きすぎませんか?
後述しますが、「口数からしか買えない」というのがマネーマシンを作る上で最大のデメリットであると考えます。
ETFより投資信託の方が良いのでは?
現在では、ETFよりも投資信託でマネーマシンを作った方が断然良いです。
投資信託とETFを比較してみましょう。
- 信託報酬は投資信託の方が若干高いです。米国ETFのVTは0.09%に対し投資信託では0.1144%です。
(VTとほぼ同じ構成のeMAXIS slim全世界株式オールカントリーとの比較) - 配当金は自動で再投資される
(手間要らず) - 購入手数料なし
(米国ETFは為替手数料が発生) - バランスも常に最適化
- 100円から購入可能
ETFだとドルコスト平均法がやりにくい
マネーマシンを作るのに殆どの方は毎月コツコツと『定額積立』で買っていきます。
定額積立だと『株価が高い時には少なく』、『株価が安い時には多く』購入できます。
これはドルコスト平均法という手法です。
詳しくは↓を読んでみてください。
インデックス投資はドルコスト平均法で毎月定額積立を長期的に行うのが王道です。
更に投資信託では100円から購入可能なのに対し、ETFは上場銘柄なので100円からは買えません。
例えばVTは101.81ドル(2021年5月3日現在)です。
約11,000円として毎月5万円の定額積立したい人だと投資信託ではピッタリ5万円分買えますが、ETFなら4口、2万円の予算なら1口といった具合です。
投資信託は100円から買える仕組み上『定額購入』が可能ですが、ETFだと『定数購入』といった方がしっくりきます。
(多額の資金があれば同じですが)
定数購入のデメリットは株価が落ち込んだ時に大量購入がし難いという点です。
つまり、投資信託では安い時に大量購入ができるドルコスト平均法が『やりやすい』のに対し、ETFは安い時でも大量仕入れが難しいのでドルコスト平均法が『やりにくい』ということです。
ETFマネーマシンは間違いなのか?
YouTube大学ではインデックス投資は長期積立投資の最適解であり、年利5%〜の利回りを目標にしているので手数料が安いETFを買うべきという内容でした。
あながち間違ってはいませんが、これは2017年出版の本からの引用であり、恐らく当時では本の内容が最適解であったと思いますが、残念ながら今では古い情報です。
現在では投資信託のコストが当時よりも大幅に下がっています。
それに伴い、ETFで積立投資を行うよりも投資信託で積立投資をした方が、より効率的に出来るようになりました。
また、コストの引き下げ以外にも『投資制度にも変化』が起こりました。
2017年には『NISA』しかなかった
『ETFはこの7本を書いなさい』の本が出版された2017年には『NISA』しかありませんでした。
NISAとは株取引やETF、投資信託で得た利益が5年間非課税になるという制度です。
そして、2018年に20年間の非課税制度『つみたてNISA』が開始されました。
『つみたてNISA』は様々な取扱商品のある『NISA』とは異なり、『投資信託のみ』が対象であることから、投資信託の手数料(コスト)引き下げが行われて今の低コスト体制になりました。
その為、現在でのマネーマシン作成においては『つみたてNISAを利用した投資信託』が最も効率が良く、更に非課税という恩恵も受けれます。
マネーマシンは何の銘柄が良いのか
YouTube大学では債権がポートフォリオに40%組み込まれていましたが、私は長期積立運用においては株式のみで良いと考えます。
株式は長期的には右肩あがりで債権よりもリターンが高く、暴落が起こったとしても20年以上の長期運用では回復することを信じているからです。
オススメの銘柄は『S&P500』もしくは『全世界株式』です。
経済成長は人口増加とテクノロジーの進化によるものです。
米国がこれから先も世界をリードしていくものと考えますのでS&P500は主力に、米国以外にも分散投資する意味で全世界株式をサブにするのはどうでしょう。(割合は7:3位)
逆にアメリカが失墜すると考える人は全世界株にすればいいと思います。
投資する上で注意すべきこと
YouTube大学であったように、情報の発信がいつなのか?内容はどうなのか?をしっかりと自分で見定める必要があります。
自分で頑張って働いたお金を投資するわけですから、『誰々が言っていたから』という不確定情報を鵜呑みにせずに自分自身で情報を取ってきて調べるようにしましょう。
そういう私の今回の記事も古くなったら役に立たなくなる可能性が大いにあります。
私が投資を始めた2005年と比べると、現在はYouTubeやブログでいくらでも情報を仕入れられる時代となった代わりに、情報が溢れかえってもいます。
便利な時代である反面、危険な情報もありますので、1方向のみで納得しないで多角的な視野で情報を精査して投資を行い、明るい未来を築いていきましょう。